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〔世界のおっぱいから〕韓国出産/母乳育児レポート#1
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吉田穂波上席研究員レポート #1-2 解答編

横抱き.jpgNipple Confusionというのは、国内外どこでも言われることです。ゴム乳首の方がミルクの出が良いので、赤ちゃんはそちらの楽な方に慣れてしまい、母乳を受け付けなくなるということが懸念されるため、母乳を優先させ、足りないようなら赤ちゃんにとっては飲みにくいスプーンからの授乳を行い、ゴム乳首の便利さにはなじまないようにという予防的配慮です。


日本でも、ドイツでも、ロンドンでも、アメリカでも、私が出産・育児をした場所ではこの方法が勧められていました。

私自身、ドイツで一人目を出産した折には同じように母乳での授乳がうまくいかず、こんなに張っているのに乳首からは直接飲んでくれない、ゴム乳首からは美味しそうに飲む...
と、夫に八つ当たりしたこともありました。


その後、毎日助産師さんが家に来てくれて、10日間にわたる授乳トレーニングをしたところ、やっと母乳オンリーで授乳できるようになり(と言っても左側の乳首の方が右側よりも吸いにくいというデコボコはありましたが)、半年後の職場復帰の際、今度は娘がゴム乳首からの授乳を頑として受け付けず、困ったという経験があります。


二人目からは、無理なく母乳でスタートし、3か月目に職場復帰して以降は無理なくミルクに変更、となったのですが、一人目の時に授乳方法で思い悩んだのは、今でも鮮烈な記憶として残っています。


この場合、医学的に母乳がいい、ミルクがいい、という議論は脇に置いておいて、母親の自分がどうしたいか、どうすれば楽しく過ごせるのか、を大事にしてみるというアプローチはいかがでしょうか?



上から飲み.jpg助産師さんとしては、もちろん、母乳を勧めるでしょう。それが昔ながらの経験則だからで、私も、助産師さんと一緒に働いてきた立場から、母乳育児をサポートする姿勢はよくわかります。


ただ、もし、奥様を追い詰めたり、現在、お二人が一生懸命お子さんを育てようとする努力を理解せず、授乳方法だけを取り上げて否定的であったり、という場合は、どうかな、と思います。


現在の新生児科学の趨勢としては(最新版の「周産期医学」や「小児科学」の新生児栄養特集などにレビューが載っています)、生後最低1〜2週間は初乳を飲ませて免疫力をアップさせ、その後6か月(可能なら何歳までも)は母乳をメインとすることが推奨されています。


ただ、ミルクで育った子が皆一様に発育・成長の問題があるかというとそういうわけではなく、母乳をあげられないお子さんもたくさんいますから(母体側の要因としては、乳がん、母乳を介して感染する病気、貧血など)、ここは、「母乳がいいか悪いか」ではなく、親御さんお二人が、どうしたら愛情を持って赤ちゃんを育てられるか、という面に目を向けて欲しいのです。


愛している我が子を、少しでも良いと言われる方法で育てたい気持ちは万人共通です。
母乳がいいということは分かっているから、頑張りたい、でも、赤ちゃんとしては不愉快なようで、哺乳量が少ないと体重増加に響くのではないかという心配。
自分の母乳技術への残念感、焦り。

そういう気持ちでご自分が辛いようであれば、まずはその気持ちを自分で聞いてあげてほしいのです。

医学的なことよりも、自分の気持ちが和らぐことを優先し、今の状況を夫や身近な方に話し、一緒に悩み、辛いね、と言ってもらえる人がいるということ、それだけで、状況が変わると思うのですが、いかがでしょうか。


その上で、「こんなに辛いのはもう嫌!」ということであれば、いいよ、大丈夫、と、ミルクに切り替え、昼も夜も家族皆で穏やかに過ごすという選択肢もありだと思います。

何を優先させるかを考え、自分たちで決めたことであれば、(後から少し思い出して胸が痛むことはあったとしても)前を向いてサッパリ進めるのではないでしょうか。


私の知る中でも、子どもをミルクだけで育てる方、たくさんいます。気持ち、環境、サポート、物理的なこと、距離など、家族それぞれ、何を優先させるかはいろいろです。


もし、「やっぱり、もうひと踏ん張りしてみる」ということであれば、助産師さんに毎日来てもらう、助産師さんのところに毎日通って、授乳中に指導してもらう、というサポートを得るのも一つの手です。
その時、ガンガン頑張る方式ではなく、もう少しゆったりしたスタイルの助産師さんを探してみてはいかがでしょうか。


・あと10日だけ、あるいは2週間だけ、集中的に頑張ってみる
・もう一人別の助産師さんを探して、その人と頑張ってもダメならあきらめる
・一か月健診で体重が正常範囲であれば、もう少し母乳をがんばってみる

など、「いつまで頑張るか」というメルクマールを設けておいた方が、気が楽になる、ということもあります。


フットボール.jpg今、すぐに、そばに行けないのが大変残念なのですが、助産師会、ラ・レーチェ・リーグ、JALCなど、色んな団体が相談の機会を設けているようですよ。
お電話して、状況を説明して、力になって欲しい、と話してみてはどうでしょうか。


今では笑い話ですが、私の一人目の授乳のとき、誰でもそうなのですが、私の乳首の形にも固有の特徴があったため、ドイツの助産師さんが面白いことをしました。
私があおむけに寝て、助産師さんが、娘を、まずは横に抱かせて授乳、次はラグビーボール抱き(娘の胴体が私の腰に巻き付くような感じでしょうか)にして授乳、次は逆さ抱き(娘の口は乳首を加え、胴体が私の首の横に置かれている状態)と、360度クルクルクルクル回して授乳を試み、やっと、娘が吸いつきやすい角度を見つけて、その後はまず、その角度から始め、慣れてきたら次第に横抱きへ、と指導してくれたのです。


娘が生後2〜3か月になり、少し大きくなってからやっと、私が座った状態で、授乳枕を使わず、娘が横抱きに抱かれて、いわゆる普通の格好で授乳できるようになりましたが、それまではほとんど寝ながら、あるいは座ってもラグビーボール抱きをしたりと、面白い恰好で授乳していました。「授乳はこうして座って赤ちゃんを抱えてするもの」という規格に合わせるのではなく、私の乳首の形に合わせて吸わせた、という経験は、その後の産婦さんの授乳指導の際も私のアドバイスに柔軟性を与えてくれました。
どちらにしても、授乳方法と、赤ちゃんへの愛情とは、まったく別のものです。

子どもにベストなものを注ぎたいという気持ちは皆同じ、と先ほど書きましたが、子どもへの愛情も、お母さんの心の余裕があってこそ。
心の余裕がなければ、辛抱強い育児はできません。
これは、この先ずっといえることです。

反対に、子どもの側から考えても、お母さんがハッピーであれば、子どももハッピーなのです。

大人が今日の天気を話題にするのと同じくらい、お子さんにはお母さんの気持ちが何よりも大事で、敏感になっています。

無理しないでね、と、きっと赤ちゃんも思っていると思います。
お父さんとお母さんが赤ちゃんを愛するのも、奥様への愛情があってこそ。

授乳方法が心配するのも、家族を大事に思っているからこそ。


そのままでいいんだよ、という気持ちが、伝わりますように。
私も、自分が昔、苦労した経験を思い出して、しみじみしてしまいました。
どうぞお大事に。

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上席研究員 吉田穂波プロフィール

 
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