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〔世界のおっぱいから〕韓国出産/母乳育児レポート#1
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竹中恭子上席研究員 レポート 家族育てと出産「母乳相談の現場から見た家族像」

家族育てと出産「母乳相談の現場から見た家族像」

よこはま母乳110番相談員 竹中恭子

2004年12月1日発行「ぺリネイタルケア」301号より転載

  はじめに

 はじめまして。よこはま母乳110番相談員の竹中と申します。よこはま母乳110番というのは、素人の先輩ママによるボランティアの相談ダイヤルです。1992年の開設から12年間、役25.000件(2004年9月10日現在)の相談を受けてきました。週1回、2時間だけの開設なので件数そのものは多くありませんが、いまどきのお母さんのさまざまな悩みを知ることができます。

 最初は「素人が体のことで相談にのるなんてとんでもない」という批判もありました。けれど「それは専門家の思い上がり。体のことは誰が語ってもいいのですよ」と横浜市の職員が応援してくれました。わずかですが助成金もいただきました。ただ、相談員は乳幼児連れのお母さんたちです。2歳以下の子どもというのはしょっちゅう熱を出しますし、つぎの子の妊娠や出産もあるし、約束していてもあてにならない人の大集団でもあるわけです。「この人たちのマネジメントができれば、私はどんな組織のマネジメントもできるかも」と思うくらい運営は今でも大変です。

でも皆生き生きして楽しそうに動いています、乳腺炎になったり、子どものアレルギーで苦しんだり、とても忙しい身の上、本当は人の相談にのるどころじゃない人たちの集まりなのに、いや、だからこそかもしれませんが、とても熱心に活動しています。

 私はその中で最古参、開設当初からの相談員です。当時授乳中だった娘はすでに中学生、息子は小学生ですが、赤ちゃんとお母さんと触れ合う機会が多いせいか、相談中、自分がお産で嫌な思いをしたことや、昔、乳腺炎で苦労したときのことをリアルに思い出して涙することもあります。これから、そんなごく普通のお母さんの相談員でもある私が感じたことをお話したいと思います。

  いまどきのお産風景(昔と違う7つの点)

 私が昔と一番違うと思うのは、お産に対する親の意識です。10年前より格段に情報が知れわたるようになり、ずいぶんと意識が変わってきたと感じますが、その中でとくに特徴的と思われる7つの点について書いてみます。

  その1 お産のイベント化

 一生に一度のことと「企画」する親も多く、結婚と並ぶ一大事業として捉えられています。メモリアルグッズの購入やビデオ撮影に熱をあげる家族も多く、いまやお産は一族あげての一大イベントになっている観があります。少子化のため祖父母の期待も大きく、産院選びから名づけ、新生児の肌着選びまで、世代間でもめるケースも結構あります。

  その2 妊娠の早期発見による精神的なストレス

 妊娠の確定時期が昔と比べて格段に早くなり、たとえば11週など昔ならばまだ妊娠に気がつかずに過ごせた時期を、とりわけ初めての妊婦さんはドキドキしながら過ごします。結果、自然流産の経験者も増え、自分の体と向き合う経験がほとんどなかった若い女性にとって、かなりのストレスになっています。妊娠を心待ちにしていた人でさえ、あまりに長期にわたる妊娠初期(安定期前)の長さに嫌気がさすこともあるのも現代の特徴です。

  その3 親になりきれない親

 自分で自分の体のことをきちんと考え、クリアしていく...。そんな大人として当然のことができない人が増えています。信じられないかもしれませんが、掃除も洗濯も親、生理用のショーツさえ親に洗ってもらっている成人女性(そういう人は結婚しても、親が面倒をみつづけるので既婚でも独身でもあまり変わりありません)すら、いるのです。そうした極端な場合だけではなく、昔だったら普通にできたことが(とくに健康管理、生活能力)ができない人はとても多いです。親になりきれない親というより、大人になりきれない大人が子どもを産み、親になっているということではないかと思います。

  その4 頭で考えすぎてしまう傾向(経験よりマニュアルに走りがち)

 いまの親はあちらの情報こちらの情報と聞きかじり、調べることにはたけています。にもかかわらず、実践に弱く、いざ目の前に生きもの(赤ちゃん)が出現すると慌てふためき、どうしていいかわからず、固まってしまう人がとても多いのです。お産の本や育児書などのマニュアルと少しでも違う点があると、わが子はどこかおかしいのではないかとショックを受けてすぐに相談してきますが、様子を見ながら、考えながら自分なりのすすむ方向を探していくことが苦手で、すぐに「正しい答え」を聞きたがります。受験のための暗記に多くの時間を費やし、実験や観察をおろそかにしてきた知識偏重教育のツケだと思うのは私だけでしょうか。

  その5 「こだわり」の二極分化「イメージ重視」

 中島みゆきの曲の中に「私やさしい人が好きよとやさしくなれない女たちが答える」というフレーズがありましたが、現代女性はお産に対してとても貪欲です。産院に過剰なサービスを求めるのもその一つ。豪華な設備はもちろん、フルコースの食事や産後のボディケアのための高級エステ、出産日を特定の日に設定できる計画分娩なども彼女たちの選択の基準です。小さいときから自分の好きな品に囲まれ、自分の好きなCDを選び、自分の好むブランドを身につけてきた世代なので、方向は違っても「こだわり」の強さは同じくらいに感じます。ただし、癒し系のお産の方向を希望する人はますます増えていくのではないかと私個人は思っています。

  その6 リスクとして育児を捉える傾向

 働く女性が増えたことに加え、子どもと触れ合ったことがないまま大人になる人が親になっています。そのため、昔のように「子どもは宝」「子育ては尊い仕事」という価値観に添えず、経済活動中心の考え方をするクセがぬけずに出産して、カルチャーショックを受ける人が多くいます。具体的には「いつ生まれるか、日にちがハッキリわからないなんて困る」(計画が立たないではないか)、「こんなに熱を出すとは思わなかった」(毎日保育園に行けるわけではないなんてびっくり)、「こんなにお金がかかると思わなかった」(出産や教育の費用だけではなく、出産によるキャリアの損失、産まない人と比較しての生涯賃金の格差)、「もう一人と思っていたけれどリスクが高すぎるのでやめておく」(子どものマネジメントは大人相手のビジネスの比ではなくたいへん)などです。この傾向は仕事を持つ女性だけではなく、専業主婦の女性にも同じようにみられます。「子どもができると自分の習いごとがつづけにくくなってしまうので嫌」(趣味に生きる人生)、「二人だけのほうが気が楽」「それよりも老後の貯金をしなくては」(次世代を視野に入れない人生設計)などです。

  その7 予測できない事態に対する対応能力の低さ

 その4で述べましたが、いまの親はあまりに頭で考え過ぎているために、予測していた事態とは違ったことが起きたときの対応能力が極端に低いと思います。文明がすすむほど子育ては下手になるという言葉があるそうですが、いま私たちが暮らす社会はさまざまなことが滞りなくすすんで初めて機能するような仕組みになっています。その中で、お天気や子どものような「自然物」だけが思うようにいきません。台風で交通機関がストップして目的地に行けなくなったり、子どもの場合は、突然泣きだしたし、考えつかないようなことをして怪我をしたり、そのために予定していたことがオジャンになってしまったり・・・。そういうことは親なら誰でも経験していることです。昔の人は自然とともに生き、たとえ子どもを持たない人でも、周囲に子どもがたくさんいたのでそうした不測の事態に対応する能力も鍛えられていたと思いますが、いまの人はその部分が極端に弱いのではないか、というのが私の実感です。

  

  赤ちゃんに対するイメージギャップに苦しむ親たち(相談の現場から見えるもの)

 ここまで、いまどきの親の置かれているお産をめぐる状況をお話ししました。自然に添うことのできない現代人にとって、赤ちゃんはお産や母乳の仕組み以上に理解しにくいもののようです。母乳110番には赤ちゃんに対するイメージギャップに苦しむ親からの相談がたびたび寄せられています。こんな相談がきたら、みなさんはどのように答えますか?問題点を実際の相談事例に照らして一緒に考えてみましょう。

  その1 間違った映像イメージの刷り込み

 冗談だと思う人もいますが、「うちのこの子のおしっこ、青くないんです!黄色いんです!どうしましょう!」という相談が実際にありました。テレビコマーシャルで赤ちゃんのおむつに青い尿が映し出されていますよね。あれを見て赤ちゃんの尿は青いものだと信じ込んでいた人からの相談です。「ご自分のおしっこも黄色いでしょう?同じ人間なんですから黄色いのが普通ですよ。安心してくださいね」と答えましたが、「えーっ。ずっと青いものと信じていました。びっくりしました!」と言うのです。こちらのほうがびっくりしてしまいました。それと同じで「泣いてばかりいる」という相談も要注意です。よくよく聞いてみると、そんなに泣いていなかったりします。どういうことかと言うと、赤ちゃんはごく普通に泣く頻度なのに、テレビに映る赤ちゃんのすやすや眠るかニコニコしているイメージだけで考えているため「これは違う。うちの子は普通ではない」と思い込んで多いに悩んでいるわけです。こういう相談者の場合、ご近所への騒音の気兼ねで悩んでいるケースも多く見られます。「夜泣きの相談」と一口に言っても、少しの生活騒音も許さない静かな大人だけの社会の中で子育てをするストレスのほかに、親自身の「赤ちゃんはこのくらいは泣くもの、親の思うようにいかないもの」という認識がないことからくるイメージギャップにも原因があります。「泣かせないで育てるにはどうすればいいですか」と真顔で聞いてくる人もあります。

  その2 生活感覚の極端な欠如

 「赤ちゃんをどこに置いてよいのか、わからないのですが...」。これは洋間個室で育った若いお母さんからの相談です。最初はベビーベットに寝かせていた赤ちゃんも、大きくなって広範囲に動きまわるようになると、ハイハイしたり、お座りしたり、遊ばせる必要が出てきますよね。ところがそのお母さんは、「ソファに置くと落ちてしまうし、床に置くと汚れてしまうし、抱いたまま廊下をうろうろしています。どこに置いたらよいでしょう」と本気で悩んでいます。「床でもじゅうたんでも畳の上でも平らなところに置いてあげれば赤ちゃんのほうで動きたいだけ動きます。危険のないように見守って遊ばせてあげればよいのですよ。みなさんそうしていますよ」と答えるのですが、着飾らせて大事に大事にしている自分の赤ちゃんを「下に置くなんてとんでもない」と考えているのです。お人形じゃないのですから、赤ちゃんにしてみたら迷惑な話だと思いますが、何件か相談のあった本当の話です。高層マンション家庭で生まれ、衛生的に管理された部屋で育った世代は、昭和に生まれ、まだ空き地や舗装しない道路など土が身近にある時代に育った私たちには考えつかない感覚を持っています。

  その3 生物としての自覚と横のつながりのなさ

 上記のような質問は同じ子どもを持つ先輩ママに聞くと「こうすればいいのよ」という答えがたちどころに返ってきます。育児の悩みは「うちもそうだったのよ」「なあんだ、お宅もそうだったの」と「共感」することで解決してしまう場合がほとんどです。けれど昔と違って、いまはその肝心な仲間が周囲にいません。

 「電車の中で赤ちゃんに泣かれてしまったらどうすればいいですか?」という相談があります。母乳だと赤ちゃんがおっぱいをほしがって外出の途中で泣かれてしまうことがありますよね。そのとき、どうすればいいの?つまり「母乳の人はどうやって外出しているのですか?」という質問です。そこで「おっぱいをあげればいいじゃない。私なんか堂々と出してあげているわよ。慣れれば平気平気」などと無神経な即答をすることなかれ。母乳育児について熱心に勉強し、そのよさを理解しているお母さんでさえ、「電車の中で肌を出すなんでことは考えてもみないこと」です。で、どうなるかと言うと赤ちゃんに泣かれて、どうしたらよいかわからずにじぶんが泣いてしまうひと、懲りて二度と外出しなくなる人もいます。これもよくある相談です。

 自然出産がもてはやされ、母乳育児が見直されてきたとは言っても、現代女性が求める癒しと本物の自然が違うように、いまの世代のお母さんたちがイメージする赤ちゃんは、実際の赤ちゃんとはこのように違います。わかりやすく書くと、現代女性がイメージしている癒しはリゾートホテルの一室、ハーブの香りが漂い、静かな環境音楽が流れる部屋にリラックスして寝そべっているイメージです。本物の自然は、砂浜だったり木陰だったりしますから、虫に刺されることもあれば砂でチクチクすることも、急な雷雨で雨に打たれることもあります。赤ちゃんに対しても同じような誤解があるということです。だからこそ、「そんなときは泣いちゃうよね。でも(赤ちゃんは)生きものだから、おなかもすくし、すけば泣くのは当然だからね、いろいろな方法があるからこんな工夫をしてみたら?」と共感したうえで、どうすればよいか、具体的には電車の中で赤ちゃんに泣かれたときのあやし方や、胸元を隠しながら授乳する方法(今は抱っこしているようにしか見えない授乳服が一般に流通していますが)を教えてくれるお母さん仲間(横のつながり)が必要なのです。山歩きやキャンプファイャーにベテランのガイドや仲間が一緒に行くことで、初心者でもどうにかなることができるのと同じです。そうでないといまどきのお母さんは赤ちゃんという大自然に立ち向かえないのですから。

  その4 社会からの孤立と孤独

 「いますぐ赤ちゃんをベランダからほうり出して自分も飛び降りてしまいたい!」。

 これはお子さんのアトピーで悩むお母さんからかかってきた電話です。地域のつながりの薄い現代では、このように密室育児からくる圧迫感と、思うようにいかない子ども相手という孤独な育児から、精神的に追い詰められる母親が増えています。ここで言う母親とは母性の担い手、つまり単に子どもを産んだ女性だけの特化した役割ではなく、最も身近なところで赤ちゃんを守り、はぐくんでゆく立場にある者の役割のことですが、ほとんどの場合は母親がその役目を担っています。しかし最近は、母親はもちろん父親までが母親のように生活のすべてにわたって世話を焼きます。嫌なことからすべてをかばうようにして育てた結果、自立できないまま大人になった親が、子どもという、もともと思うようにならない存在さえマニュアルどおりに育てようとし、優劣をつけたがり、普通と違う点が少しでもあるとショックを受ける。それが最近の親の傾向です。本来母親の役割だった部分の子育てが、子育て全般を覆いつくしているのです。そこには社会を広く眺め、「世の中にはいろいろな人がいる」「子どもが自分一人で生きていけるように背中を押して世の中に送り出してやる」という父親の役割(不正の役割)としての子育てが抜け落ちていると思います。

  これからの時代の家族

 これまで話してきた問題のほとんどは、母性以外の視点や手、つまり父性の役割を補う部分があることで、かなり解決するのではないかと私は考えています。子どもが一人前になるためには本来2つの力が必要です。それが子どもを家の中に安全に包み込む「母性」と、いつまでも安全地帯にいないで言えの外、つまり社会に押し出してやる「父性」という力ではないでしょうか。単に母子の密室育児を防ぐという観点だけではなく、社会全体が母性と父性両方の役割を後押しすることによって子どもが自立できる力を養う環境をつくってゆくスタイルが必要だと思います。それが新しい育児環境のカギとなっていくと思います。

 では、具体的にどうすれば母性と父性の両方を兼ね備えた、自立できる力を養う育児環境をつくることができるのでしょうか?母乳相談の現場からの、あくまで相談員としての見方ですが、私なりの解決方法を考えてみました。

  1 「親教育」の必要性

 昔の子育ては「親になれば自然にできる」ものでした。地域ぐるみで子どもをはぐくみ、誰もが成人するまでにたくさんの赤ちゃんや幼児に接し、遊んであげたり、面倒をみたり、しかったりしかられたりして子どもの成長や育て方を学ぶことができたのです。だからこそ、自分の子どもという存在が現れたとき、その子をしっかり受け止めることができました。そうした経験が何もなくて子どもを初めからスムーズに育てられる人はいないでしょう。それなのにいまの幼稚園や小学校、地域では、子どもに何かあるとすぐに「お母さん、何かありましたか」「お母さん、お子さんの様子を見てあげてください」と言いたてます。まるで「母親ならすべてわかっていて当然だ。わからないのは母親失格だ」と言わんばかりの態度です。しかし、今まで経理の経験が何もない人が経理部門に配属されたからといって、いきなり経理の達人になれるでしょうか。なれるわけがありませんよね。どんな仕事だって、最初は初心者で、職場の上司や先輩、身近な大人に教えてもらったり、近くにいてやり方を盗んだりしながら、徐々に経験を積んで覚えていくものだと思います。親だって同じことではないでしょうか。ビギナーなのですから、女性だろうが男性だろうが不安になるのは当たり前だと思います。子どもに関する体験を得る機会がほとんどなく成人する現代の男女にとって、いまの世で親になるにはそれなりの知識や経験が必要だと思います。とくに相手がまだ人間らしい反応がほとんどない赤ちゃんなら、なおのことです。それなりのコミュニケーションの技術や、経験に基づくさまざまな情報(単なる知識ではありません)が必要ではないでしょうか。

 ある私の友人は、「子どもが3歳になって対等に口をきいてくれるようになるまで、怖くて怖くて仕方なかった。何を考えているのかわからなくて毎日ビクビクしていたから、意思が通じるようになり"これをしてほしい"と言ってもらえるようになって本当にほっとした」と言っていました。仕事上ではとても有能で大勢の部下に指示を出し、テキパキと働いている彼女が、お母さんとしてはかわいそうなくらいオドオドした自信のない日々を過ごしていたと知ったとき、私はとても衝撃を受けました。「いまのお母さんたちは恵まれている」と口をそろえていう年配女性がよくいますが、子どもを産んだら自然に親になれるというのはよき時代の子育て世代の幻想ではないか、とさえ私は思っています。

  2 「親教育」の具体的プログラム

 ではいまの親にとって、どんな具体的なプログラムがあるとよいのか、私見ではありますがあげてみます。

A. 現状把握能力をつける

  物事を数量化・定型化する一方の見方からの脱却を図る

  実験と観察の精神を育てる

  乳幼児と実際に触れ合う機会を持つ

B. 現実の中で自分に適した方策を選択していく力を身につける

  メディア・リテラシー教育(メディアの作り出す情報、たとえば母性信仰、清潔願望などの見分け方、その中で自分なりの見極め方を身につける)

  自分に合った加減の調整能力("いい加減はよい加減"のさじ加減を覚える)

  豊かな経験の積み重ね(さまざまな親子と接することで自分たちの親子の特色を理解できる)

C. 生物的な痛みを感じる力と、対人間としての表現能力の向上を図る

  心のゆとりを持つ(過密スケジュールや通勤地獄に反した人間らしい暮らし)

  家族の連帯(父の役割、母の役割をふまえた伝統的なスタイルの見直し、家庭教育の充実)

  実体験からくる言葉の訓練、コミュニケーション能力の向上(友人関係など)

 Aは幼児期・学童期から始めることによって学校教育や地域社会でかなり実現できるのではないかと思います。知識偏中のいまの教育制度の改革が急務だと思います。

 Bも同じように教育課程の改革によってかなりの部分で実現可能だと思いますが?に関しては商品知識に偏った目先の情報に惑わされることなく、人間の子どもを育てるにあたって本当に必要なものを見極めていく能力を育てるという意味で、現代の親にぜひとも必要なものだと思います。?に関しては、大人になってからその時期にふさわしいカリキュラムを組むことで、一層の効果をあげることができる可能性があると思います(独身時代に既婚者と交流する、妊娠期間中に乳幼児連れの親子と触れ合う、乳幼児を持ってからほかの親子と触れ合う、多世代とより多く触れ合うなど)。このあたりは、たとえば産科や小児科で、ほかの親との交流の場を持たせたりすることで、ある程度実現可能なプランなのではないかと思います。

 Cは、「親」という立場の人だけはなく、まさにいますべての人に突きつけられている、人間性の基本的な問題ではないかと思っています。この重要な部分を育てはぐくんでいくことができずにいるいまの社会が、心の貧しさからくるたくさんの悲劇を生み出していることはみなさんもご存知のとおりです。

 いま、現実に起こっている虐待や不幸な子育てを少しでもなくし、すべてのお母さんお父さんが明るく楽しい子育て期間を送ることができますように、願ってやみません。

*この原稿は2004年に書かれたものです。その後不況による生活の変化、伝統回帰や家族の役割重視などの価値観の転換など、時代が変化しています。

 
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